<金口木舌>食べ物と食卓の距離


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 ちょっとしたクイズを。53品目で20カ国。さて何の数字でしょう。ヒント。見た目は和風で、重箱に入っている…答えはおせち料理だ

▼知人が正月に買ったもので、和風といえど中身は外国産に頼らざるを得ないのが実情という。丁寧な説明が付いているので分かったそうだ。普段買う弁当も情報が少ないだけで似た状況なのかもしれない
▼「コンビニ弁当16万キロの旅」などの著書がある神奈川の小学校校長、千葉保さんの授業実践例をまとめた本を読むと、コンビニエンスストアで売られる幕の内弁当は食材16品目の輸送距離が計13万キロを超える。地球3周分の距離だ
▼生産地から食卓への距離が長いほど、輸送の際に発生する排ガスやCO2は増える。輸送量と距離を数値化したのが「フード・マイルズ」という運動で英国発祥。日本を100とすれば英国は21、フランスは12という(2001年、関東農政局まとめ)
▼フード・マイルズの発想は「温暖化ガスを抑えるには輸送距離の少ない身近な食材を使おう」というもの。だが日本の食卓を支えるには、他国の数倍の排ガスを伴う。これって地球に優しくない?
▼フード・マイルズの考え方は言い換えれば「地産地消」。外国産が悪いというわけではないが、あらためて県産品など身近な食材に目を向けたい。食の安全だけでなく、私たちが暮らす環境を守るためにも。