<金口木舌>ありがたいサービス


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 離島で遊んだ後、帰ろうとしたら船が欠航。そんな経験はないだろうか。母の生まれ故郷は海路の波が高いことで有名な島。仕事を持つと翌日の予定が気になり、つい足も遠のく

▼もやもやしている時、座間味村が始めたありがたい行政サービスを見つけた。荒天で船が欠航したらヘリのチャーター代を村が半額負担。一人6300円で那覇まで戻れる
▼村営保育園は老朽化が進む。建て替えが必要だが、小泉構造改革以降の民営化政策で公立保育所には補助金が出ない。伊江村は「離島では民間参入がない。隣の市町村の保育所を使うこともできない」と論を張った
▼どちらも本年度から始まった沖縄振興一括交付金の例だ。今までの、インフラ整備重視の国庫補助金にはない事業ばかり。でも市町村にとっては暮らしに密着した事業だ
▼ほかにもダムの送水管を使った小水力発電、花卉出荷のための選別機など1200を超える事業がある。地域のニーズは地域が知っていると思わせる多彩さだ
▼民主党が創設した全国版の一括交付金。政権に戻った自民党はこれを廃止し、ひもつき補助金を復活させる。既得権を手放したくない省庁や政治家は歓迎だろう。せっかく広がった裁量が狭まる全国の自治体にとって踏んだり蹴ったりか。沖縄の一括交付金の成功が、地方のリベンジのばねになればと思う。