<金口木舌>食育、大人がお手本を


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 今日はカレーかゴーヤーか、それとも…と、お昼が近づくとソワソワしつつ考えたのは30年以上前。家の食事ではなく学校給食の話

▼以前、給食の献立に疑問を持った栄養士が全国の「変な給食」を集めた本が話題になった。メタボに悩む中年が、病院で「やってはいけない」と指導されるパンと麺類の組み合わせなど確かに変だ
▼食への関心が高まったおかげか、最近は米飯、地元食材が給食の主役。県内の自治体が公表する献立表にはミヌダル(豚肉のごま蒸し)、チデークニイリチー(島ニンジン炒め煮)など郷土料理も並ぶ
▼24日から食育を推進する全国学校給食週間が始まっている。期間中、那覇市はイカスミ汁が登場。意外と子ども受けがいいとか。名護市は献立の変化でなくやんばる野菜の積極活用を年間通して実施する
▼これは沖縄の産業、文化を学ぶ機会にもなり、まさに「生きた教材」だ。男性の3人に2人、女性の3人に1人がメタボで長寿県改め肥満県とも言われかねない沖縄。「うまい」だけでなく、体に優しい郷土食も追求したいものだ
▼食文化に詳しい東京農大名誉教授の小泉武夫さんは講演や著書で「食育とは大人が何を子どもたちにするかだ」と説く。沖縄の食文化の豊かさだけ伝えても説得力が乏しい。郷土料理の給食を参考に、出過ぎたおなかを引っ込める。大人がお手本を示すのが先決か。