<金口木舌>「縁の下の力持ち」の魅力と可能性


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 師走の大掃除からまだ1カ月というのに、この散らかりようは? 片付けに頭を痛める方も少なくないだろう。悩める人へのお薦めは「新幹線 お掃除の天使たち」(あさ出版)だ

▼通称「テッセイ」と呼ばれる清掃会社の業務をまとめた一冊。7分間の新幹線の車両の清掃だが、従業員は、もてなしのプロ意識を徹底、「魅せる清掃」と世界を驚かせ、国内外のメディアで称賛される
▼利用者との触れ合いで再確認した清掃の奥深さや誇りもつづられている。周りの感謝の言葉が「縁の下の力持ち」たちを輝かせる。読む者は「掃除をしよう」「汚さない生活は大切」との思いをかき立てられる
▼新年から始まった本紙経済面連載「つなげる産地力」からもまた、「縁の下―」の生産者たちの心意気が伝わる。作物を作る難しさと“格闘”しながら消費者に安心を届けるこだわりにプロの誇りを感じさせる
▼そんな中、興味深い話も聞いた。農作物の栽培技術の進歩は目覚ましく、量産できる体制は多方面で整いつつある。しかし、それを生かす加工技術はまだ発展途上とのことだ
▼個々の生産者の大切さはもとより、産地という「面」を後押しする上で加工技術者の育成が重要性を増す。生産、加工、販売がスクラムを組み沖縄の特産物の可能性を引き出してほしい。「縁の下―」の連携にエールを送りたい。