<金口木舌>無党派をなめた付け


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 三寒四温。北風と南風が交互に訪れ、春が駆け足でやってくる。旧正月の10日にあった浦添市長選では、年末の総選挙とは違う風が吹いた。公募を経て立候補した、既存政党の支援を受けない新市長が誕生した

 ▼第三極など新しい政党が次々と生まれた揚げ句、自民党圧勝に終わった衆院選とはかなり趣が異なる。運動を担ったのが政治に縁遠い無党派の市民であった点でも特筆すべきだ
 ▼浦添市長選の結果は県内の既存政党には打撃だろう。三つどもえの戦いで現職を支えたのは、昨年まで国会議員を擁した政党そうぞうを中心にしたグループ
 ▼もう1人の新人は自民、社民、社大、民主が推薦。沖縄では珍しい保革相乗りだった。総決起大会には仲井真弘多知事をはじめ、県議会では対立する与野党代表が一堂に会した
 ▼選挙前、ある政党幹部は言った。「基地問題で沖縄の世論は一致しているから保革の別はない。市民は支持政党が推薦する候補者に入れる。無党派層はそもそも選挙に行かないんだから」。だが結果はご承知の通り
 ▼敗因はさまざまあろうが、既存政党に「支持者はいつもついてくる」というおごりはなかったか。有権者が政党離れを起こしたのか、政党が有権者から離反したのか。どちらでもあるだろう。無党派層は無関心層ではない。有権者のシグナルを各党はしっかり受け止めたか。