<金口木舌>仕事と介護の在り方


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 仕事と生活を調和させる「ワークライフバランス」。県は普及のため推進企業の認証制度を設け、各地でセミナーを開く。国もその支援で法律を改正し、育児・介護休業の制度化を後押しする

▼国の調査では、2007年までの5年間に家族の介護などで離職、転職した人は全国で56万人余。高い技術を持つベテランや管理職が多い50代が約4割を占め、40代を含めると6割近くへ跳ね上がる
▼全国中小企業団体中央会がこのほどまとめた会員への労働調査では、介護休業制度の整備は全国、沖縄とも4割強。実際に介護休業を取得したのは沖縄2・8%、全国はさらに低くわずか1・6%だった
▼物語るのは、職場で力を発揮するためには私生活の犠牲はやむを得ない-という考えの根強さだろう。男性の育児休業への職場の理解も進むが、介護休業についてはまだまだだ
▼介護の場合、施設サービスが受けられないと退職につながるケースが多いとされ、仕事との両立は困難を伴う。団塊世代の高齢化が進むに連れ、仕事と介護の在り方はより深刻な社会問題となろう。支援の充実が求められる
▼介護休業制度の先進企業として沖縄労働局から表彰されたりゅうせきは、家族を大切にする生活が業務向上につながったと聞く。先進例にヒントをもらいつつ、仕事も家庭も充実させる価値観を社会全体で育みたい。