<金口木舌>五輪招致の輪


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 2020年五輪から、日本のお家芸レスリングが除外されるかどうかの瀬戸際に立たされている。存続の可否が決まる9月のIOC総会では、同年の開催地を3都市の中から選ぶ

▼候補地は東京、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)だ。東京は1964年以来、2度目の開催を目指す。東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会によると、ロンドンの賭け屋のオッズから、東京が最も有力視されているという
▼だが、国民の招致支持率はちょっと違う。12年5月発表のIOC調査によると、賛成はマドリード78%、イスタンブール73%、東京47%だった。ただ、東京招致委がロンドン五輪後の8月に行った調査では66%と機運は高まりつつある
▼64年の東京五輪は沖縄にも「遺産」を残した。名護市では毎年9月、東京五輪聖火宿泊記念のロードレースと駅伝大会が、同市嘉陽の聖火宿泊記念碑前を通るコースで開催されている
▼20年の東京五輪では震災復興も意識、サッカー予選を宮城県で開催するプランがある。東京招致が実現すれば、復興を待ちわびる人々に希望と元気を贈ることにもなろう
▼東京開催の最大の鍵はやはり国民の支持だ。平和の祭典ともいわれる五輪を、国民が心から歓迎できる機運を全国津々浦々で醸成できるか。政治はまず、国民に明日への希望を示してほしい。