<金口木舌> 地域がつくる学校


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 県立高校の卒業式が1日行われた。1万4千人余が巣立った。高校生活のゴールであり、新たな生活への出発点でもある日。充足感、今後への希望や不安など人それぞれだろうが、何はともあれ、おめでとう

 ▼歴史に幕を閉じた高校もあった。沖縄工業定時制。58年にわたり技能ある人材を世に送り出した。伝統の灯が消えるのは寂しいが、その灯は同校を卒業した誇りとして卒業生の胸の中にきっとともり続けるだろう
 ▼那覇市内のある高校の卒業式に出席した。花道を歩く生徒の顔は輝き、まばゆいばかりだった。高校3年間、一度も見せたことのないほどの笑顔を輝かせた生徒もいたのではないか
 ▼笑顔の陰には、家族の支えや親戚、地域住民らの温かい目など“連係プレー”があったことだろう。式典で感じたのは、社会全体で子どもたちを育むことの意義、地域と学校の連携の大切さだ
 ▼次代の担い手の笑顔を後押しする意味でも、地域と学校の連携強化は小中学校から高校、大学まで幅広く検討する価値がある。大学の教員養成講座でも、今後は地域力を生かすスキルを備えた人材育成が必要ではないか。児童生徒の人間力強化のためにも
 ▼「先輩たちのこれからが笑顔にあふれていることを祈ります」と、ある高校の在校生代表は送辞を贈った。学びやも後輩たちの笑顔がいつまでもあふれていてほしい。