<金口木舌>庶民の春はいつ


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 きょう5日は二十四節気の一つ、啓蟄(けいちつ)。土の中の虫がはい出てくるころの意味で、希望あふれる春の訪れを感じさせる時季だ

▼しかし、今年は家計に厳しい春になりそうだ。円安の進行や原油などの資源高を受けて、4月から電気・ガス料金が値上げされる。ガソリン価格も上昇が続く。同じく4月には輸入小麦価格も引き上げられるという
▼輸入小麦が値上げとなれば、パンや麺、お菓子など生活に欠かせない食料品価格の上昇にもつながりかねない。輸入食品、衣料品の値上げも懸念され、家庭の財布に暖かな春が訪れるのは、しばらくお預けになりそうだ
▼2月の月例経済報告は、景気の基調判断を2カ月連続で上方修正した。円安で輸出関連企業を中心に業績回復の兆しも見えつつあるが、値上げが重なれば家計は青息吐息だ。「アベノミクス」の効果を庶民が実感できるのはいつになるのか
▼デフレ脱却で消費者物価が上がっても、賃金も上がらねば、景気回復や生活再生はおぼつかない。安倍晋三首相は、2月に経済3団体トップへ異例の賃上げ要請をしたが、経済界は真剣に受け止めているだろうか
▼コンビニ大手のローソンは、2013年度から20代後半から40代の社員年収を引き上げるとした。確かに人材への投資は企業や社会の活性化にとって不可欠だろう。庶民が景気回復を実感できる春が待ち遠しい。