<金口木舌> 「この海、誰のもの?」


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 先日、名護市の東海岸を車で北へと走った。目当ては道路沿いに咲く花々。集落内のコスモス畑を探しては道に迷い、沿道に花壇を見つけては車を止めた

▼久々のゆっくりしたドライブで心癒やされる思いがした。花盛りの名護を演出するのは名護市の東海岸、二見以北の10区住民だ。住民協働で進める「フラワーフェスティバル」が20日まで開かれている
▼イベントの拠点「わんさか大浦パーク」は北部振興事業で造られた。名護市が基地受け入れを拒否し、運営資金に充てる再編交付金が入らないなど曲折はあったが、住民の知恵と熱意で活性化への道を模索している
▼イベント中は夜の大浦湾を海上から眺めたり、大浦湾で釣りをしたり、国の文化財に指定された天仁屋の褶曲をカヌーで見に行くツアーもある。花、山、海といった地域資源を活用するのも自然豊かな地域ならではのこと
▼気になるのは「わんさか」の前に広がる大浦湾、その先の辺野古を埋め立てようという動き。自然保護団体に聞くと、埋め立てればリーフの間から湾に流れる潮流が止まり、海は死んだも同然になるという
▼埋め立て同意の是非をめぐり、名護市の漁協が臨時総会を11日に開くという。祖先が残した恵みの海をどう生かし、未来に引き継いでいくのか。ウミンチュや地域の老若男女のぎりぎりの知恵を、しっかり見届けたい。