<金口木舌>地元らしさに観光の最大の魅力


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 初夏を思わせる陽気が続き、県内の森や海も冬から春、夏の色へ変化している。春休みや大型連休に先駆けて、県内外の書店には沖縄の“穴場”へ観光客を誘う旅行雑誌が登場している

▼「るるぶやんばる沖縄北部」がそう。国頭、大宜味、東3村の大自然をはじめ、食を中心とした暮らしぶりや土産物などを紹介。県民もやんばるの魅力を再認識する盛りだくさんの内容だ
▼この冊子発行のきっかけは「認知度の低さ」だった。2011年10月、JTB沖縄のネット調査。「やんばるを知っている」は26%、一方「再び行きたい」は92%に上った。リピーターは確実にいる。課題が見えた
▼三つの村は委員会を立ち上げ、「来訪させるための」情報発信ツールづくりに着手。その成果がるるぶシリーズに。全国初の村主体の地域版で、企画したJTB沖縄の「昔ながらの環境は目的重視型観光客を呼び込める」との熱意も伝わる一冊だ
▼地元のありのままの姿を経営の基本に据えるホテル経営者も多い。八重山地域で高級ブランドホテルを展開する星野リゾートの星野佳路社長もその一人。“地元らしさ”に高付加価値が見いだせるというのが持論だ
▼「経済促進と環境保護はどちらかを犠牲にしないといけない―わけではない」と星野社長。歴史や自然が醸し出す地域資源を見詰め直し観光の島から発信したい。