<金口木舌>決して忘れない


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 この2年間は長かったのか、あっという間だったのか。被災した方々は地元で、あるいは避難先でさまざまな思いを抱えながら懸命に過ごしたに違いない

▼東日本大震災から2年。那覇市の人口とほぼ同じ約31万5千人が今も避難生活を送る。原発事故の影響も影を落とす。元の暮らしに戻るにはなお時間がかかる。本紙記者の現地取材からは県出身者の苦悩と、前を向いてひたむきに歩む姿が紹介された
▼「何の心配もなく、子どもを外で思いっ切り遊ばせてあげたい」。ささやかな願いが今もかなわぬ福島の親たち。原発事故で分断された地域。家族が離れて暮らす苦悩や先の見えない暮らしへの不安。課題は今も多い
▼2年がたち、これからは心の支援がより大事になる。子どもたちに沖縄で思い切り遊んでもらいたい。少しでも安らげるひとときを被災地に提供できないか。制度的な支えも継続・拡充が必要だ
▼「まだまだやることがある」。1週間の予定で石巻市に入った東恩納寛武さんは今も現地でボランティアを続ける。県内でも支援継続に向けて多くの団体が動いている。県内の避難者が自立できるための取り組みも必要だ
▼復興、生活再建までになお時間がかかる。だが私たちにできることは、これからもたくさんある。「忘れないでほしい」という被災地の思いを、もう一度しっかりと受け止めたい。