<金口木舌> 盤石はない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 甲子園で戦うチームに「盤石」はない。野球の難しさ、奥深さをあらためて学んだことだろう。センバツを2度制した沖縄尚学が初戦で敗れた。残念だが、ここは気持ちを切り替えよう。ナインには今回の教訓を是非、夏のリベンジに生かしてほしい

 ▼沖尚と敦賀気比は出場36チームのどのチームよりも早く、大舞台で投げ、打ち、走った。大観衆が見守る開幕試合は、名誉であるが、選手たちには目には見えないプレッシャーもあるだろう
 ▼沖尚は初回に先制パンチを食らってしまった。「立ち上がりは要注意」。投手も野手も十分分かっていたはずだ。しかし、この試合では甲子園の独特の雰囲気に慣れる前に、敦賀気比に一気に攻め込まれてしまった
 ▼点差ほど力の差はないと感じた。底力では沖尚もそんなに引けを取っていないだろう。ただ、得点圏内での残塁が多かった。チャンスを生かす集中力、粘りなど、ナインにはきっと収穫もあったはずだ
 ▼甲子園には魔物がすむ、とよく言われる。選手たちは試合の重圧に加え、この魔物とも戦わねばならない。硬くなるのは仕方がない
 ▼試合前に比嘉公也監督が語った「最初に勝ち名乗りを上げる」は宿題となった。夏の甲子園へ向け、その答案を見られるか。沖尚や県内他校の球児が、はちきれんばかりの笑顔でアルプススタンドへ駆け出す姿を
思い描きながら、夏を待とう。