<金口木舌>県産食材は飛躍への原動力


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 量販店や通販、土産品店などで手軽に購入できるようになった健康食品。伝統野菜を主原料とする商品化も進む。県内企業の中にも県産へこだわり、販路拡大に努める企業は多い

▼名護市で熱帯植物ノニを活用する健康食品会社社長は「食文化は全国へどんどん伝えていいが、作物まで奪われてはいけない」と述べる。地元産の機能性を最大限生かした商品開発で市場開拓に力を注ぐ
▼県産業振興公社によると、一時はピーク時の200億円の半分に落ち込んだ県内健康食品産業の出荷額は、2010年度以降は前年比増に転じる。国際航空貨物拠点事業の効果もあり、息を吹き返しつつある
▼海外での需要拡大はインフラ整備に加え、安心・安全な産地とのイメージ定着によるところも大きいだろう。医薬品レベルの適正製造規範GMPの認証は県内は10社で全国の1割。世界水準の安心も沖縄の売りだ
▼日本健康・栄養食品協会は県内企業の特徴を「地元産に根付いた商品化」とし、専門家派遣や勉強会など安全性確保の制度取得を行政側が支援するのは沖縄のみと評価する
▼伝統野菜に着目した補助食品も開発される。食育と栄養補助を融合した子ども向けの「知育健康サポート食品」のモデル化は県内企業の新たな一手か。認知度で課題はあるが、県産へのこだわりは地元企業の飛躍に欠かせない原動力だ。