<金口木舌>女の子のために手を上げよう


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 春3月。進学、進級を控え、学用品売り場では笑顔の親子連れを目にする。この時期のほほ笑ましい風物詩だ。英国にも、学べる喜びをかみしめる少女がいる

 ▼パキスタン人のマララ・ユスフザイさん。15歳。イスラム武装勢力の女子教育抑圧を批判し、昨年10月、頭を銃撃された。英国で治療を受け、先週から高校に通い始めた。今年のノーベル平和賞候補でもある
 ▼学校に通えない女の子は世界で6600万人。途上国では水くみや弟妹の世話、食事の準備などの家事をさせられ、就学率、識字率とも男子より低い
 ▼国際NGOプラン・ジャパンの統計では、3秒に1人が強制結婚させられ、その数、年1千万人。性被害に遭う18歳以下の少女は1万5千人で、最貧国の15~19歳少女の死因の多くが妊娠と出産という
 ▼現状を改善しようと、同NGOは「Raise Your Hand(世界の女の子のために手を上げよう)」という世界規模の運動を始めている。個々の思いを記したボードを持ち、手を上げた写真をホームページに送り、賛意を示す。9月末までに100万人分を集め、国連事務総長に働き掛ける
 ▼女の子が初等教育を受けると、将来産む子の生存率が40%上がり、生涯所得が20%増えるとの試算もある。今の時期、子どもたちはわくわくして新学期を待つ。同じ思いを世界中の子どもたちに味わわせたい。