<金口木舌>映画でまちおこし


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 「網走番外地 南国の対決」「ホテル・ハイビスカス」「カムイ外伝」…。映画のタイトルを聞いて、ピンと来た人はいるだろうか。共通点は名護市でロケした映画だ

▼地方で撮影された「ご当地映画」というジャンルがある。商業映画もあれば、住民主体で作るものもある。先日名護市内で上映会があった「ハナばあちゃん!!」は、秋田県大館市の住民による手作り映画。エキストラ、ボランティアに住民1500人以上が参加した
▼関連商品も発売され相乗効果は大きい。それより大事なのは「何もないまち」と諦めかけていた住民が、映画を通してまちの良さを再発見し「このまちに生まれてよかった」と思い始めたことだ
▼大館市の地域プロデューサーが「これまでと違い、何か行動しようとしたら、みんながやろう、やろうと返してくれる」と変化を挙げていたのが印象的だ
▼名護でも大館市に学んで映画を作ろうと有志が動き出した。目標は映画の完成ではなく、製作の過程で市民が見つけた名護の魅力を全国に広げ、活気を呼び戻すことだ。桜、市場、ひんぷんガジュマル、目の前に宝は幾つもある
▼見慣れた風景を当たり前と思わず、もう一度見詰め直してみたい。6万市民の目があれば、さまざまな発見があるだろう。「このまちが好き」。胸を張ってそう言えるよう、多くの人が映画作りに参加するのを期待する。