<金口木舌> 生活習慣改善は大人の責任


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 「あれっ、痩せた?」。久しぶりに会った友人のあいさつ代わりの言葉。会話をつなぐ何げない一言に小躍りする。そんな体験をした人は少なくないだろう

 ▼沖縄の「長寿崩壊」が叫ばれる中、健康への注意は大人だけの課題ではない。昨年まで12年かけた那覇市の調査では、脂質や糖代謝の異常、肝脂肪など生活習慣病の傾向のある児童が一定数、確認された。背景には大人と同様、全国に比べて高い肥満比率があり、子どもに連鎖している
 ▼あの手この手で生活習慣病対策に乗り出す県内市町村。20、30代の健診を無料化する那覇市などは子育て世代でもある若年層に力を入れる
 ▼食習慣を変える試みは広がりつつあるが、対策の両輪といわれる、肝心の運動不足の解消は沖縄の車社会が大きな壁だ。県内の車の保有数は今や100万台を超え、復帰時と比べ6・5倍。家族でファストフード店にドライブスルーに行く。肥満県沖縄を象徴する一場面だ
 ▼歩いて行ける場所にもつい車を使ってしまう習慣を変えるのは難しい。だが自治体がどんなに頑張っても一人一人が行動しなければ効果は薄い
 ▼大人には自らと子どもの生活習慣を改善する責任がある。ただ、いきなり身構えることはない。健康チェックの目安として「痩せた?」「太った?」をあいさつ代わりにし、励まし合う-そんな習慣から始めてはどうか。