<金口木舌>ダルビッシュの笑顔


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 長嶋茂雄、松井秀喜両氏への国民栄誉賞決定に続き、大きなニュースが飛び込んできた。大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ有投手が2日(日本時間3日)、あと一歩で完全試合という快投をやってのけた

▼最後の打者になるはずだったアストロズ27人目のゴンザレスに初球をはじき返され、日本人投手初の快挙を逃した。この日は深夜まで、このニュースが繰り返し流れた。野球ファンならずとも悔しい思いをしただろう
▼ダルビッシュ投手は沖縄でもなじみ深い。日本ハムに在籍していた一昨年まで、毎年春季キャンプの行われる名護で汗を流していた。我が事のように唇をかんだ県内のファンも少なくなかっただろう
▼打たれても、うなだれずに笑顔だったのが印象的だ。試合後のインタビューでは「僕が完全試合をしても、チームの3勝、5勝になるわけではないので、何も思っていない」と語った。大リーガーとしての風格に一段と磨きが掛かってきた
▼金字塔を打ち立てられなかった悔しさを試合後、自身のツイッターで「なんでやねん!!」とつぶやいた。残念がる多くのファンへの気配りのメッセージも、なかなか心憎い
▼大記録は達成できなかったものの、今シーズン初登板で初勝利を手にした。「2年目のジンクス」を吹き飛ばし、今季は何か、とてつもない活躍をしてくれそうな予感がする。