<金口木舌>若者育てる地域力


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 うりずんの季節を迎えるやんばるに爽やかな風が吹き渡っている。スポーツで活躍する若者たちが起こす力強く、活気に満ちた風だ

▼今帰仁村の北山高校の野球部が6日、県高校野球春季大会で初優勝した。7日は女子ゴルフで本部高校出身の比嘉真美子プロがツアー初勝利を遂げた。2日続けての快挙に地元は沸き立つ
▼高校野球の準決勝があった4日は、平日にもかかわらず今帰仁村から多くの人が応援に繰り出し、役場は閑散とした。11日には本部町で比嘉プロの祝賀会が行われ14日は今帰仁村で野球部が住民報告会を開く
▼北山、本部とも県立とはいえ、住民にすれば、わが村、わが町の学校という意識が強い。北山は今帰仁中時代から父母が早朝の練習を手伝った。本部高ゴルフ部には、練習場所の提供などで地元のゴルフ場などが協力する。競技は違っても地元が一丸となって選手を育てる環境は似ている
▼二つの高校とも最近は定員割れに悩み、統廃合の対象に挙げられた。だがどちらも、地域が若者を育てているという自負がある。結果を残した若者の実力をたたえるのは当然だが、選手、学校を支えた「地域力」もたたえたい
▼春風が運んできたビッグニュースに住民の喜びもひとしおだろう。次の目標は甲子園と2勝目。希望と活力を乗せた爽やかな風が再びやんばるに吹くことを期待して待ちたい。