<金口木舌>東浜のプロ初先発


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 ほろ苦いなんて生易しいもんじゃない。プロの洗礼は厳しかった。11日夜、福岡ヤフオクドームで行われたソフトバンク-オリックス戦にプロ初先発した東浜巨投手(沖尚高-亜大出)は3回1/3を投げたが、6点を奪われ降板した

 ▼初回は持ち前の制球が定まらず、直球も変化球も高めに抜け、犠飛と満塁本塁打で5点を許した。胃の痛む思いで観戦したファンも多かったろう
 ▼試合後「緊張はしていなかったが、自分の間合いで投げられなかった」と自らの投球を分析した。自分を冷静に見詰めることができれば、投球課題も整理できるはずだ。次につなげたい
 ▼6失点ながらチームが勝利したため、負け投手にはならなかった。この日は打線に勢いがあり、延長十一回、亜大の先輩・松田宣浩選手がサヨナラ本塁打を放ち試合を決めた。打たれても負けない。「運」を 味方にした格好だが、もちろん本人はリベンジを誓ったことだろう
 ▼国民栄誉賞の受賞が決まった長嶋茂雄氏もプロ入り間もない頃、金田正一氏の前に4打席連続三振を喫した。その悔しさをバネに精進し、球界の顔と言われるまでになった
 ▼試練は大投手になるためのステップと思えばいい。大切なのは困難から学んだことをどう生かすかだ。それは聡明な東浜投手自身も分かっているだろう。そう遠くない日に、目の覚める快投を期待したい。