<金口木舌>留学生は沖縄の宝


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 アジアから沖縄に注がれる視線が熱い。カンボジアの国連機関で働くペン・ラタナさん(43)は、ウチナー民間大使の義父とのつながりで沖縄の人々と交流し沖縄が大好きに。「子どもを沖縄に留学させるのが夢」と言う

 ▼20年前は県系人が少なかったアジアだが、その後は増えて、今や2世の時代だ。県系人を通して沖縄が好きになり、留学に憧れる地元外国人も増えているという
 ▼裏腹に、沖縄の海外留学生の受け皿は縮小傾向だ。県は経費削減のために16カ国・地域から受け入れていた留学生を2012年度は5カ国に減らした。2000年度に24人いた留学生は12年度はわずか9人で、アジア枠は消えた
 ▼一昨年の第5回世界のウチナーンチュ大会で仲井真弘多知事は、海外県系人は「沖縄の宝」と宣言した。「世界は小さくなった」。大会に参加した香港県人会の吉田隆乃介さん(23)はフェイスブックなどSNSの普及を挙げ、目を輝かせていた
 ▼世界の物理的壁はどんどん低くなり、人々がつながりやすい環境が生まれている。「沖縄の宝」は県系人にとどまらず、広がりを見せている
 ▼県は5月にも元留学生とのネットワークづくりに着手するという。この環境を最大限に生かし、世界に広がる「宝」の原石を磨き、沖縄に近いアジアからの視線にも応えてほしい。「宝」の輝く可能性は大きいはずだ。