<金口木舌>パッチー世代の責任


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 学童軟式野球大会の開会式で「野球肘の低年齢化が心配だ」という話を耳にした。教えてくれた大会役員は「肘を痛めない投球法を学ぶにはパッチーが良いそうだ」とも付け加えた

▼地面に投げる動作が投球動作に似ており、ウオーミングアップになるという。パッチーの響きに懐かしさを感じるのは40代以上か。メンコを沖縄ではこう呼ぶをことを20代の同僚たちは「知らない」と言うので驚いた
▼パッチーと野球の不思議な縁。野球関係者には知られているようだ。「遊びながら鍛えられる」という触れ込みで「トレーニングメンコ」という商品を売る野球用品メーカーもある。これにも驚いた
▼野球肘そのものは「過度な練習が原因。指導者は気配りを」と沖縄市の整形外科医。先の大会役員も「野球ばかりでは駄目。いろんな遊びを通じて体をつくってほしい」と注文する。このあたり、パッチーの効用があるかもしれぬ
▼無理な練習が災いして小学校低学年でも野球肘になると聞き、小児生活習慣病という言葉が頭に浮かんだ。中年世代に広がる高血圧や高脂血症が子どもの体をむしばむ。大人の対応が問われる点では共通している
▼「子どもの体は社会の鏡」という小児科医の忠言を思い出す。ギプスを巻いてグラウンドに立つ選手の姿は痛々しい。小学生球児を守るのはパッチー世代の責任だ。