<金口木舌> 宮国の今季初勝利


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 宮国がマウンドで躍った。16日 夜、東京ドームで行われた伝統の巨人-阪神戦で、巨人の先発・宮国椋丞投手(糸満高出)が今季初勝利を挙げた。今年の躍動を期待させてくれる勝利だった

 ▼「伝統の一戦」で、今季まだ白星のなかった巨人。宮国投手は三回まで毎回走者を出し、2点を失った。その嫌なムードを女房役で打線の要でもある阿部慎之助捕手が、逆転3ランという強力な一打で蹴散らした
 ▼後押しに応え、四回以降の宮国投手は別人のようだった。5イニング全て三者凡退の完璧な内容。阿部捕手の援護はあったが、その変わり様は劇的だ。何があったのか…巨人ファンならずとも知りたい“謎”
 ▼それは試合後のインタビューで解けた。四回の投球に入る前、阿部捕手に「真ん中に構えてください」と注文したという。開き直り、ミットの真ん中目がけて全力で投げ込んだ。気迫の投球に、阪神打線はなすすべがなかった
 ▼自身の投球パターンを即座に切り替えることのできる決断力に非凡なものを感じる。阿部捕手が「慎重になり過ぎて大胆なリードを忘れていた」と自戒したほどだ
 ▼試合後は“夫婦”そろってお立ち台へ。女房役から「沖縄の踊りを」と促され、カチャーシーとおぼしき振りを披露して沸かせた。この即応性もファンを喜ばせるプロ魂か。これから歓喜の舞いは何度でも見られよう。次が待ち遠しい。