<金口木舌>お母さんに優しい国


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 寿限無、寿限無…で始まる、おなじみのお噺(はなし)。生まれた子に「達者で長生きができて、おまんまの苦労をせずに済むような名前を付けてやりたいんだよ」というおかみさんの願いに応え、有り難い言葉の数々をつなげる

 ▼長過ぎる名前の長助くん。入学式の朝、起こされている間に夏休みになっちゃった、というオチになるのだが、わが子の幸せを願うのは古今東西、全ての母親の願いだ
 ▼では、お母さんの幸せ度はどうか。NPO団体がランク付けした「お母さんに優しい国」で日本は176カ国中、31位。やや優しさが足りない国のよう。足を引っ張ったのは「女性議員の割合」だ
 ▼上位になった北欧各国の4割に比べ、日本は約1割で、下位のアフリカ諸国と同程度。女性議員の少なさが、女性の生きにくさの遠因に思える。象徴的なのは、待機児童の多さなど保育行政の貧困
 ▼安心して子どもを産み育てられるか。結婚、出産、子育てと、女性の不安は尽きない。母親目線の政治が待たれる。沖縄の高出生率は地域や親族に支えられてきたが、コミュニティーの脆弱(ぜいじゃく)化に伴い、いつまで続くか怪しくなってきた
 ▼1位のフィンランドは3歳までの育児休業や「父親月間」という男性の育休などの子育て支援策を取り、少子化を食い止めることができた。母の日を前に思う。母親目線の支援策でお母さんに優しい国を。