<金口木舌> タカ派のウオッチング


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 やんばるの森は今、子育ての季節。アカショウビンなどの夏鳥が姿を見せ、ノグチゲラやヤンバルクイナの巣立ちのニュースも届くころだ

 ▼きょうから愛鳥週間が始まる。480種超の鳥が確認されている沖縄は野鳥の宝庫だ。ただ、空には暗雲が漂う。昨年秋に鉄の鳥「ミサゴ」が飛来してきたからだ。英名はオスプレイという
 ▼本物は秋に飛来して今頃沖縄を離れるが、こちらは居座りを決め込む。昼夜問わず飛び回り、低周波音やら水筒やら、揚げ句は兵士までも落とす危険な害鳥だ。飼い主の米国はルール違反にも知らぬ存ぜぬ。夏にはさらに12羽が渡ってくるから厄介だ
 ▼永田町に目を転じると、威勢のいい鳥が「タカ」だ。昨年12月に増殖し、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。従来「キュージョー」と鳴いていたのに、最近は声色を変えて「キュージューロクジョー」とけたたましく叫ぶ
 ▼一方、「ハト」は絶滅危惧に近い。かつてはジミントウという島にも一定程度いたが、消えてしまった。特定の種だけが幅を利かせると、生態系のバランスは崩れてしまう。生物も政治も多様性こそが豊かな環境を生みだす。大政翼賛会的な偏った勢力図が危なっかしいことは歴史が教えてくれる
 ▼タカの一群はどこに飛んでいくつもりなのか。その行き先を、ウの目タカの目で「バードウオッチング」できるのは有権者の眼力しかない。