<金口木舌>若者対策、まずは政治不信解消を


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 ホームページや携帯電話のサイト、着ぐるみ、最後は芸能人まで。選挙でよく使われる若者対策の七つ道具だ。ただ、どれも功を奏しているとは言い難い

 ▼なぜ若者は投票に行かないのか。あるニュース配信社の調査で最も多い理由は投票しても「何も変わらない」だった。根底には政治不信もあるだろう。それが根強い間はどんなに斬新な道具を使っても、投票率向上は望めない
 ▼ところが昨今の政界は、政治不信解消とは逆行しているようだ。「普天間は最低でも県外」を覆した元首相は記憶に新しい。それを批判していた政党の県内政治家が最近、相次いで公約を破り、普天間の辺野古移設へ転換した
 ▼今夏の参院選からネットでの選挙運動が解禁される。若者向けのPR合戦が白熱するだろう。県内では若者の投票率向上を目指す20代の社会人が会を結成し動きだした。「票を動かし、未来を変えろ」という、無力感とは逆の発想を前面に出した注目される動きだ
 ▼「政治屋は次の選挙を念頭に行動し、政治家は次の世代を念頭に行動する」。英国の第61代首相ウィンストン・チャーチルは、普段から次世代に責任を持つ行動が政治家の重要な資質とした
 ▼これに倣えば、政治不信を払拭(ふっしょく)する日々の行動こそが最大の若者対策だ。七つ道具をそろえるのは結構だが、肝心なのは政治家の質だろう。