<金口木舌> 花開けソバの里


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 桜や海開き、温州ミカンに緑茶など「日本一早い」が沖縄のセールスポイントになっているが、もう一つ新顔が加わった。大宜味村で育つソバだ

 ▼春植えのソバが収穫期を迎え、「日本一早い」新そばが味わえる。先日同村で開かれた試食会で、本場・長野県の人にも「魅力的」と評価された(16日付市町村面)。全国の産地は秋に収穫する「新そば」が主流で春物は付加価値も期待できる
 ▼名護市の屋我地島でも実験的にソバ栽培が始まった。生産者に聞くと、少しずつ賛同者を増やし、将来は「ソバの島」として売り出すのが目標という。千葉県からそば職人を招いて、近くイベントを開く計画もある
 ▼大宜味をけん引役に、やんばるが「ソバの里」として売り出せるか注目だ。香り高く、喉ごし爽やかな新そばは県民食ともいえる「沖縄そば」とはまた違った魅力がある
 ▼ソバは痩せた土地、酸性土壌でも育ち、やんばるにぴったりの作物といえる。県のまとめで県内の耕作放棄地のうち、37%に当たる1100ヘクタールが北部に集中する。土地を有効活用し、若手の参入を促せば「ソバの里」づくりは必ずしも夢ではない
 ▼われわれ消費者も黙って見ているわけにはいかない。まずは大宜味の新そばを味わってみることから始めたい。一過性の流行でなく、そばのように細く長く続くよう、大宜味や屋我地の取り組みを応援したい。