<金口木舌> 七戸龍の挑戦


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 柔道の七戸龍選手(那覇西高-福岡大-九州電力)が12日、全日本選抜体重別選手権100キロ超級で2連覇。8~9月にブラジルのリオデジャネイロで開かれる世界選手権の日本代表に初めて選ばれた。大舞台での活躍を大いに期待したい

 ▼小学校で柔道を始め、父康博さんが極真空手の強豪だったため、中学のころまで空手にも打ち込んだ。193センチ、118キロと筋肉質な体格でダイナミックな柔道をする
 ▼だが、今年2月のグランドスラム・パリ大会準々決勝では、ロンドン五輪覇者のテディ・リネール(フランス)の前に13秒で一本負け。3月の全日本選手権3回戦では判定負けを喫した。未完の大器だ
 ▼日本代表男子監督の井上康生氏は「戦略、戦術をよりやっていく必要がある」と課題を挙げる。世界への壁を乗り越えてほしい。課題と言えば、日本柔道界は二つの苦境に直面する。ロンドン五輪で男子柔道は史上初の金メダルなし。お家芸復活は七戸選手ら若手の肩にかかる
 ▼国内外のライバルと切磋琢磨し、尊敬を集める品格を備えた柔道家になってほしい。それが二つ目の苦境である柔道界のパワーハラスメント問題からの出直しにもつながるだろう
 ▼世界選手権は2016年五輪と同じリオが舞台。「出るからには絶対に勝ちたい」と七戸選手。柔道界の新星に沖縄の柔道少年とともにエールを送りたい。