<金口木舌>基地と向き合う目線


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 浦添市内の保育所で聞いた話。連休前、近隣の公園で開いたこいのぼり掲揚式で、一人だけほかの園児とは別の方向を見詰めていたという。目線の先にはMV22オスプレイ

 ▼当方も昨年10月の配備以来、頭上で響く重低音に反応し、空を見回す習慣が身に付いた。いつしか目線は足元よりも空へ。そんな時、米軍機の爆音に悩む認可外保育園の実情に触れた
 ▼法律上、認可外保育園は国の防音工事の助成対象にはならない。国は法律を盾に認可外園の爆音被害を黙認した。市町村はこの問題を十分に認識しなかったか、法律の前で手をこまねいてた。かくして爆音が放置された
 ▼認可外園の間では不平等感が根強く、公立・認可園並みの対応を求めるが、その声が行政に反映されることはなかった。かく言う当方も認可外園の職員や保護者の苦悩を知らなかった。盲点だった
 ▼防音工事補助に慎重な園関係者もいる。「出て行くべきは米軍基地だ。国の施しを受けることは基地容認につながるのでは」というジレンマだ。このような声にも耳を傾け、解決策を探りたい
 ▼米軍基地と向き合うことは戦闘機や部隊の動向監視にとどまらず、基地の重圧に苦しむ人々を直視することだ。防音工事助成のらち外にある認可外園の悲痛な声は、爆音にさらされる生身の園児を見詰めよと迫る。自戒とともに、その声を受け止めている。