<金口木舌>安心の保育こそ


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 横浜市長の林文子さんが講演で、ヒラリー・クリントン元米国務長官の「おもてなし精神」を紹介した。2人は少し会話をした程度の仲だったが、クリントン氏は翌年ある会合で林さんを見つけるやいなや「メイヤー、ハヤシ」と駆け寄ったという

 ▼「一度しか会ったことのない人にわざわざ声を掛ける。世界的に一流と呼ばれる女性には、こうしたおもてなし術が備わっている」と感心する林さん
 ▼高卒でOLになった後、自動車会社へ転職。高い販売実績で頭角を現す。ダイエー会長兼CEOなどを歴任し、米誌の「世界ビジネス界で最強の女性50人」に選ばれた。「女性の最大の強みである共感力、受容力、包容力はビジネスシーンでも必ず武器になる」と話す
 ▼おもてなしは顧客満足を得る鍵の一つ。それは子育て施策にも反映された。横浜市は全国最悪だった待機児童を3年でゼロにした。認可保育所を増設したほか、保育コンシェルジュを配置し保護者のニーズを聞いたのが奏功
 ▼たらい回し、無愛想、「善処=何もしない」など随分行政への批判を耳にしてきた。横浜市も定員割れや保育士不足など課題はある。主役の園児と母親に安心の保育サービスをどう行き渡らせるか。保育は転換点を迎えた
 ▼待機児童が東京の次に多い沖縄も人ごとではない。安心の保育へ向け、自治体の知恵と「おもてなし精神」が問われよう。