<金口木舌> 進化系模合の時代


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 米国からアジアへと一気に目線を移す。そんなとっぴなことがコザの夜に起きた。米国のニューオリンズ視察の成果を街の活性化に生かしてきたコザの有志「アメリカ模合」が6月から「アジア模合」に衣替えする

 ▼米国視察を参考に音楽イベントを生み出してきた経験の延長にアジアの音楽市場が見えてきた。米国一辺倒ではなく、どの国とも分け隔てなく付き合い、いいものは学ぶというのが模合仲間の流儀という
 ▼ほかにも沖縄市の兄弟都市・大阪府豊中市との交流を民間レベルで進めようという「豊中模合」や、台湾との交流に取り組む「台湾模合」がある。模合での語らいがそのまま街づくりと結び付く
 ▼濃密な人間関係ゆえか、この街では細胞分裂のごとく次々と模合が生まれるようだ。冗談めかして「模合の街宣言をしよう」とぶち上げるご仁もいる。ロックやエイサーに並ぶ街の顔になるのか、想像するだけで愉快だ
 ▼詐欺まがいの「ゴロゴロ模合」が社会問題化したこともあったが、相互扶助や親睦の場としての模合の魅力は捨てがたい。県内や海外の沖縄移住地でも経済的に困窮したウチナーンチュが模合を通じて支え合った
 ▼模合に街づくりという要素が加われば地域活性化の作戦会議となる。知恵のユイマールだ。人々の苦楽に寄り添ってきた模合を街づくりでも生かす。“進化系模合の時代”到来か。