<金口木舌>忘れられぬ日々


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 高校生のスポーツの祭典・県高校総合体育大会が幕を開け、1日から一斉に競技がスタートした。3年生にとっては高校最後の夏。これまでの厳しい練習で培った力と技を、余すことなく発揮してほしい

▼全ての高校生が夢見るインターハイ(全国高校総体)。今年は北部九州4県で開催される。沖縄代表の座を懸けて約9400人の若人が競技に打ち込む。数々のドラマが生まれるだろう
▼先月下旬、先行競技のサッカーが宮古島市で行われた。男子の1回戦、球陽-豊見城戦で球陽ベンチから指示を送る中俣章太郎君(3年)の姿があった。エースストライカーとして活躍していたが、昨夏、急性骨髄性白血病に襲われた
▼闘病中は抗がん剤の副作用の苦しみに耐えた。友達が見舞いに訪れるたびに「県総体には出るから」を口癖にしていた。今春、幹細胞の移植手術に成功し順調に回復。今大会は仮退院してチームメートに同行した
▼惜しくも1-2で敗退。だが、ピッチを駆け巡るイレブンに、中俣君は自らの姿を重ね合わせたに違いない。昨夏までチームメートと共に汗を流した日々は一生忘れられないものとなろう。友との絆は一生の宝だ
▼高校生の熱い闘いは続く。選手たちには、悔いを残さぬよう一瞬一瞬に全力を注いでほしい。そのはつらつとした姿に、大人も子どもも爽やかさとパワーをもらっている。