<金口木舌> 平和な日本、平和な沖縄の両立


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 戦争がなく、殺人事件の数も少なく、誰もが安心して暮らせる国であることを誇りに思う。「世界平和度指数」ランキングで日本は6位だった(13日付23面)

 ▼イギリスの調査機関が22項目のデータを評価した。「対外戦、内戦」の数やその死者、武器輸入量など多岐にわたる。日本は尖閣諸島など領土問題で「近隣国との関係」がやや評価を下げた
 ▼内戦が続くシリアや政情不安のアフガニスタンなど指数下位の国の現状を考えると、はるかに平和だといえる。だが指数を測る項目を見て、沖縄も平和なのか考えてみた
 ▼「人口10万人に対する軍人の数」は米軍が集中する沖縄がもちろん全国一。気になる項目は「他の市民に対する不信感の程度」。独裁政権下の監視社会のことか。だが次の発言を聞いて「日本国民」はどう思うだろう
 ▼「何も変わらない現実に直面し、日本の安全保障に無関心でいる国民に悲しみと憤りに似た感情が芽生える」。オスプレイ配備に反対するオール沖縄の東京行動後、県民の総意が無視される状況を嘆く那覇市長の言葉
 ▼基地の無条件返還を求めた「屋良建議書」を持ち出すまでもなく、沖縄の声が届かないのは今に始まったことではない。だがこれほど不信感が極まったことは過去になかった。平和な日本、平和な沖縄、両立するのに難しいことはない。必要なのは国民の意思だけだ。