<金口木舌>悪いのは誰だ?


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 以前、浦添市の牧港川自然観察会で、甲羅が20センチ近くあり、顔に毒々しい赤い模様のあるカメがいた。ガメラ? ガイドに聞くと、いわゆるミドリガメ(和名・アカミミガメ)。大きくなりすぎ、手に負えないペットが捨てられたようだ

▼「猫にも犬にも罪はない」。国頭村の小学校で行われたヤンバルクイナに関する特別授業での一こま。講師の一言を聞いて、牧港川のカメの姿を思い出した
▼授業を担当したNPO法人「どうぶつたちの病院沖縄」が作った教育用パネルは、小学生にも分かりやすく、生態や保護策をまとめている。その中の「天敵」に関するパネルで捨て猫や捨て犬が小動物の命を脅かすことが示されている
▼気を付けたいのは、ヤンバルクイナをはじめとする森の生き物を襲う犬や猫はどこから来たかということだ。「人が捨てなければ」。クイナの生息調査にも参加する児童たちは、それを理解していた
▼捨て犬や捨て猫に限らず、マングースもいる。最近は沖縄にいなかったタイワンハブが名護市や恩納村で生息域を広げ、不安が募る。だが「駆除」される生き物は、どれも人が自然界に持ち込んだもの、人の都合で置き去られた生き物だ
▼思えば、牧港川のカメは悲しそうな目をしていた気がする。生き物の命に変わりはなく、駆除の対象となる生き物たちに罪はない。果たして悪いのは誰だ?