<金口木舌>値上げの大波


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 「チーズにバター、小麦粉、パスタ…。どこまで我慢できるのか」。イタリア料理店を営む知人がこぼしていた。アベノミクスに伴う円安の進行で輸入原材料が次々と値上がりし、経営を圧迫する

▼卸業者からは、この先、オリーブ油やワインの値上げも告げられている。価格転嫁するわけにもいかず「頑張れるところまで頑張るしかない」ものの、経営努力だけでは限界がある
▼7月に入り、小麦粉や食用油、マヨネーズ、パン、電気料金と、値上げラッシュの波が押し寄せている。その形もさまざまだ。最近は「隠れ値上げ」や「裏値上げ」という言葉もあるらしい
▼前者は価格据え置きで内容量を減らすこと。ハム、ソーセージは1日出荷分から7%減っている。後者は特売の回数を減らしたり、特売価格を上げたりすることで、首都圏ではティッシュペーパーに見られるという
▼消費意欲を高めたアベノミクスも、最近は副作用が指摘される。恩恵は大企業、富裕層止まりで中小・零細企業、庶民まで回ってこない-などだ。給料アップが伴わねば、物価上昇というマイナスばかりがのしかかる
▼「隠れ値上げ」ではないが、アベノミクスも、見栄えだけ立派で知らぬ間に中身が減量されていたとならないよう、チェックが必要だ。来年4月には消費増税が待っている。それまでに家計を干からびさせるわけにはいかない。