<金口木舌>「夢の実現を」


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 夢を大切にする人は年齢を問わず若人だとよく言われる。だとしたらこの方は手本だろう。史上最高齢の80歳で世界最高峰エベレストに登頂した三浦雄一郎さんだ

▼気力や体力の秘密は、年を取っても「夢を見て、諦めないこと」と語る。「(世界6位の高峰)チョーオユーの頂上からスキーで滑る」と新たな目標を宣言した。三浦さんにとって夢は言葉にし実行するものだ
▼書家の西口賢治さんは、夢を心に描き、言葉に出し、文字に書いて実行することを「夢現の法則」と呼ぶ。365人の夢を集めた著書「年中夢求」で、夢の言葉には人や社会を元気づける力があると説く
▼本をめくると、ひたすら夢の字が並ぶ。退屈かと思いきや、夢の文字やその思いをつづる短文が彩り豊かで面白い。「大ぼら吹きも、うそつきも、実現すれば夢の王様」。苦笑も誘う
▼参院選に向け論戦が始まった。有権者はそれぞれ多彩な夢を抱き、その実現を後押ししてくれる政治家を望む。有権者の夢の最大公約数を項目ごとに整理し実現を約束したのが、政治家の公約だ
▼選挙戦では候補者名の連呼やイメージPRに力を注ぐ向きもあるが、有権者の心を真につかむのは、美辞麗句ではない、的を射た公約だ。「大ぼら吹き」か、「夢の王様」か。夢も公約も実現してこそ意義がある。約束を確実に実行するか、見極めるのはもちろん有権者だ。