<金口木舌>イジグヮーの普及を


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 かつて琉球人は「海洋民族」「万国津梁の民」と大海原に挑む気概が称賛された。今やそれは郷愁だろうか。人材育成の専門家は県内若者の9割以上は内向き志向と指摘する

 ▼国際的人材が求められる時代だ。海外で活躍する県系人に県内の若者に足りないものを聞いてみた。カナダでレストランを3店舗経営し、日本、中国、韓国などの若者を多く雇う新崎実さんは迷わずこう答えた。「イジグヮーだ」。新崎さんの成功の原動力でもある
 ▼「沖縄よ、世界に向けて奮い立て!」とのメッセージが込められた沖縄民謡「ひやみかち節」。作曲者の山内盛彬さんは戦争で傷ついた沖縄の人々に意地を付けてもらうために作ったという。甲子園球児が証明したように、この曲を聞くと若者もイジグヮーを発揮するようだ
 ▼問題はこの精神、どう広め、根付かせるかだ。18日、米ロサンゼルスで第2回世界若者ウチナーンチュ大会が開幕する
 ▼主催者の若者連合会は公的助成を受けず“自力運営”を貫く。そこにイジグヮーの原石を見た。大会では8カ国約130人が交流する
 ▼海外の沖縄社会で「沖縄の心」とよく称されるのは、ユイマール、イチャリバチョーデー、チムグクルの三つだ。ぜひこれにイジグヮーを加え、荒波に挑む県系人の気概を再発見し、学び、磨き、広めてほしい。名実ともに「万国津梁の民」を目指して。