<金口木舌>自然体験のススメ


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 テントウムシを手のひらに乗せると、指先に上っていく。高い所を目指す行動パターンから、太陽=お天道さまに向かうとして、その名が付いたといわれる

▼虫の生態は興味深い。ダンゴムシは石などの障害物に出くわすたびに、左右交互に曲がって進む。同じ所をぐるぐる回らず、敵から遠く逃げるためらしい。クモの巣には中心から放射状に伸びる縦糸と同心円状の横糸がある。虫を捕まえる粘り気は横糸だけにあり、クモ自身は縦糸の上しか歩かない
▼身近にいる生き物も、意外と習性を知らず、「なぜか」と観察すると新しい発見がある。幼いころ、セミはどうやって鳴くのか調べたことがある。いじくっているうちに死なせてしまい、命のはかなさも知った
▼近頃の子どもたちはこうした自然体験が乏しいようだ。2010年の調査で「昆虫や水辺の生物を捕まえた」は小学1年生で3割、学年が上がるにつれ数値が下がった。都市化や生活様式の変化からか、05年調査と比べても年々減る傾向にある(国立青少年教育振興機構調べ)
▼同じ調査で、自然体験の多い子は困難への対応力が強いことも分かった。自己肯定感や物事への意欲も高い。自然は教科書とは違う学びを与えてくれる
▼あすから夏休み。携帯ゲームに夢中になりがちな子どもたちに、自然との積極的な触れ合いも経験させてあげたい。