<金口木舌>政治不信と言う前に


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 運動不足に加えて暑さで参りかけたころ、視界が開けた。清流と落差の大きな滝に暑さも吹き飛ぶ。時折吹く風が汗でぬれたTシャツを乾かしてくれる。「海の日」の15日、国頭村の比地大滝を散策した

▼気分も晴れやかな帰り道、てんびん棒に砂を入れたバケツを下げ、急な階段を上り下りする少年や女性を見掛けた。人が歩いてえぐられた部分を砂で埋めて平らにしていた。来訪者が気持ちよく歩けるよう陰で支えていた
▼各党、各候補者の目配りはどうなっているか。選挙戦で憲法や基地、経済など主要な争点には光が当たり有権者の目を引く。福祉や子育て、働く場の確保など暮らしにもきちんと光を当てているだろうか
▼働きたくても働けない、子どもたちの居場所がない、暮らしの中にこそゆがみは多い。だからこそ踏み荒らされた地面をならすように、政治の力でゆがんだ道を粘り強く修復してもらいたい
▼「変わるんだ、というところを政治が見せてほしい」。本紙17日付の参院選若者座談会で出席者の一人がこう語っていた。政治家は若者の期待に応えねばならない
▼「悪い政治家は、投票しない善良な市民によって選ばれる」。アメリカにこんなことわざがある。「政治不信」を表明するだけでなく、県民の代表を選ぶ権利をしっかり行使しよう。明日は投票日。「よりよい未来」を築くのは一人一人の行動だ。