<金口木舌>長男落第生として


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 生まれた順番に従い、きょうだいの中で長男に収まっている。そのくせ旧盆など家の行事には無頓着を決め込んできた。地域行事や祭事への関わりも薄い。五十路(いそじ)を前に少々反省している

▼コザではパーランクーが鳴り響く季節を迎え、エイサーの道ジュネーを今から楽しみにしている。ところが周囲を見渡すと女性陣は早くも旧盆準備が気になるようだ。ちなみに今年のウークイは8月21日
▼そのウークイでも線香をあげ、紙銭を焼く手順に毎年戸惑ってしまう。トートーメーに名が刻まれた祖父母は大目に見てくれるものと念じているが、ウチナーの長男として及第点は取れそうにない
▼そんな自分のことを棚に上げるようだが、旧盆をはじめ家族や集落ごとの儀礼の簡素化が進んでいるようで気にかかる。都市化の一断面とはいえ、結の心という沖縄の美風まで失いはしないか
▼県内各地で発刊されている字誌や自治会誌は積極的に地域儀礼の概要を収録している。伝統の継承にとどまらず、儀礼を通じて地域のむつみ合いを守り伝えたいという意思の表れでもあろう
▼法事でも初七日と四十九日を同時に済ますことが普通になった。経済的な事情や家族の負担軽減が主な理由のようだ。理解はできるが、故人をいとおしみ、ゆっくり送りたいとも思う。儀礼にみる沖縄の心とは何か。ウチナー長男落第生なりに考えたい。