<金口木舌>ノンプロの星


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 第84回都市対抗野球大会は「大城の大会」だった。23日に行われた決勝で、JX-ENEOS(横浜市)は51年ぶりの連覇を達成した。同チームのエース、大城基志投手(名桜大出)は、2年連続で橋戸賞(最優秀選手賞)を受賞する快挙を成し遂げた

 ▼昨秋の社会人野球日本選手権でも大城投手は、橋戸賞と同等の最高殊勲選手賞を受賞。昨年の社会人ベストナインにも選ばれた。まさに「ノンプロの星」と言えよう
 ▼橋戸賞受賞を「当然僕だと思っていた」。自信に満ちたコメントは不断の努力に裏打ちされている。社会人大会後、この大会だけを見据えて日々鍛錬を重ねたという。その結果、どんな局面にも動じない強靱(きょうじん)な精神力と体力を培った
 ▼今大会では先発に抑えにと、全5試合に登板する大車輪の活躍。「選手全員が自ら動き、自ら努力できるチーム」(大久保秀昭監督)をエースとして体現した
 ▼宜野座高校から名桜大学を経てENEOSへ。現在25歳。制球が良く、まとまりのある左腕との評価も高い。3大会連続で最優秀選手に選ばれた快挙は、プロにもアピールするだろう
 ▼プロ野球や高校野球に比べ、華やかさの少ない社会人野球だが、大城投手の活躍が社会人野球への注目度を高めたことは間違いない。今後もさらに鍛錬を重ね、不屈の闘志を強固なものにしてほしい。そして一層「星」の輝きを増してほしい。