<金口木舌>「ブドウの房」を目指し


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 「ガキ大将プロジェクト」「にしこうカラハーイ (羅針盤)」「教育の里づくり」。企画の名前だけ見ていても楽しくなってくる

▼名護市の「地域提案型事業」に応募してきた各自治会の知恵の結晶だ。役所が「金は出すけど口は出さない」というのもユニークだが、人づくり、まちづくり、産業興しと、寄せられたアイデアも劣らずに愉快なものばかりだ
▼人づくりを通してまちの将来を指し示す「カラハーイ」を掲げた大西区は名桜大や沖縄高専とも提携するほか、独自の豆記者を育てて内外に地域情報を発信する計画だ。区内有志による委員会をつくり、会合を重ねてアイデアを練り込んだという
▼実践はこれからだが、関係者が喜んでいたのは、議論を重ねることで区民の連携がより強くなったことだ。まとめ役の一人は「誰かのアイデアが新たなアイデアを生み、人が人を呼んでくる。『ブドウの房』のようなつながりが生まれた」
▼ブドウの一粒一粒は小さくても、まとまれば立派な姿になる。一人の知恵で足りない部分があっても、大勢の知恵を集めれば大きな力になる。ブドウの房のような連携は、住民自治の理想的な姿が芽生える証しといえる
▼名護市に聞くと、事業自体も職員の研究グループが生みの親という。役所がまいた種を住民がどう育てるか。たわわに実るだろう「ブドウ」の収穫が今から楽しみだ。