<金口木舌>探究心


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 西原町に住む植物研究家の嘉弥真国男さん(72)が、沖縄本島に自生する外来雑草・タチアワユキセンダングサ(方言名・サシグサ)の新品種を発見した。研究者としての鋭い観察眼と地道な努力が文字通り実を結んだ

▼発見したのは2008年。散歩中に紅紫色のサシグサを見つけ、一目見て新品種だと見抜いたという。それから3年間、自宅で種子から栽培。色に変化が出ないことを確認した上で沖縄生物学会に報告、このほど新品種に認められた
▼中学生のころ、ミツバチにひかれ、自宅で飼育を始めた。これをきっかけにミツバチが好む植物に興味を持ち、それを探しているうちに新品種に行き当たることがあったという
▼散歩やドライブの途中でも、変わった植物は目に付く。漫然と風景に目をやるのではなく、常に変わったことはないかと目を凝らす。誰にでもできることではない。これぞ「あっぱれ」だ
▼ところで、7月15日にプロ初勝利を挙げたソフトバンクの嘉弥真新也投手(23)=石垣市出身=は国男さんのおいに当たる。高校時代に「嘉弥真ボール」という独自の変化球を編み出し、プロでも武器にしようと研鑽(けんさん)を積んでいるという
▼植物研究、野球とジャンルは異なるが、2人の嘉弥真さんの探究心にエールを送りたい。森羅万象に目を配り、新品種を見分ける人生の先輩の眼力にも、あやかりたい。