<金口木舌>命の水、住民の手に


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 水位が下がり、赤土があらわになっていた。国頭村で取材した帰りに見た普久川ダムの光景だ。今夏の少雨傾向を肌で実感した

 ▼以来、沖縄総合事務局のダム貯水情報を定期的に見ている。福地など大型ダムは90%近くあって安心するが、普久川など小規模ダムは枯れそうなのが分かる。「節水」「断水」そんな言葉が頭に浮かぶ
 ▼8月は水の消費が増えることから国は毎年1日を「水の日」としている。7日までは「水の週間」だった。何げなく使っている水が貴重な資源であることに、あらためて思いをはせたい
 ▼週間中、沖縄でも水の重要性を考えさせられる出来事があった。5日に起きた宜野座村の米軍ヘリ墜落だ。落ちたのは宜野座村民が飲料水に使うダムのすぐ近く。村の調査で水質に異常がなかったのがせめてもの救いだ
 ▼事故で分かったのは沖縄では空や土地だけでなく、県民の命の源である水源までもが、米軍に首根っこを押さえられていることだ。事故が起きたキャンプ・ハンセン内は大小六つのダムがある。事故後、農業用水ダムの一つは、日常認められている水位確認の立ち入りを米軍に一時拒否された
 ▼いつ起きるか分からない米軍機事故に加え、「命の水」に対する安心・安全すら沖縄には保証されない。いつまで我慢すればいいのか。基地と住民生活は交わることのない「水と油」でしかない。