<金口木舌>親子でつかむもの


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 4日、佐賀県で行われたインターハイ(高校総体)ハンドボール男子の試合で、県代表の興南が4年ぶり5度目の優勝を飾った。黒島宣昭監督と三男で主将の誠さんは親子で全国一の歓喜を味わった

▼黒島監督はチームを率いて30年。春の全国選抜、国体も制覇した、全国屈指の名監督だ。親子での優勝は初めてで喜びもひとしおだろう
▼3年前の美ら島総体では次男諄さんが選手として出場したが、準々決勝で敗れた。今大会の準々決勝で、美ら島総体で敗れた不来方(岩手)と再び対戦。誠さんは「絶対に負けない」とチームを引っ張って見事に勝利し、兄の悔しさも晴らした
▼父と子の関係、指導者と選手となると接し方も難しい。決勝後、黒島監督は「主将で息子ということもあり、厳しく当たったこともあった」と語った。それでも誠さんは「指導してくれてありがとう」と感謝の言葉を返した
▼今年のインターハイ、県勢は重量挙げでも親子で頂点に立った。94キロ級で優勝した屋良一郎選手(南部工)の父は同校の屋良博之監督。近くで見守る父に、屋良選手はいつも「記録で恩返しを」と念じている
▼親子アスリートには、身内だから強く当たれる場合があれば、けじめをつけ監督と選手の距離感を保つという気苦労も多かっただろう。チームの栄光の陰で繰り広げられた、もう一つのドラマにも拍手を送りたい。