<金口木舌>踊りの力を借りて


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「かぎやで風」と並んで「加那ヨー天川」は結婚式を飾る舞踊の筆頭に挙がる。舞台で踊る2人が新郎新婦の名前と祝いの言葉を記したティーサージ(手拭い)を広げる温かい演出は会場を和ませる

▼締めのカチャーシーは体全体で祝意を伝える格好の場となる。新郎新婦らが舞台でもみくちゃになって踊るのを見ていると壮快な気分になる。踊りの力を実感する瞬間である
▼旧盆に向けてエイサーに取り組む各地の青年会は踊りの力をばねに奮闘する。若者は熱っぽくパーランクーや大太鼓を打ち鳴らし、乱舞する。衣装や選曲に土地柄がにじみ出る。シマの誇りを懸けた舞だ
▼11日の飛衣羽衣カチャーシー大会では宜野湾市伊佐青年会の3人が「NOオスプレイ」と腕に書き入れ、舞台に上がった。基地に隣接する地で暮らし、湧き出る思いを踊りに託すことが彼らの流儀
▼HH60救難ヘリの墜落事故を念頭に「がんばろう宜野湾、宜野座」と書く案もあった。奇をてらったのではなく、政治色を意図したわけでもない。伊佐で生まれ育った若者の気持ちを率直に伝えた
▼それでもオスプレイは強引に飛んできた。お盆を避けた日程と聞く。政府は県民の願いは袖にしても、本土のお盆は丁重に扱うようだ。祖霊送りのエイサーの力を借りてでもオスプレイを追い払いたくなる。カチャーシーで締めることができれば上等だ。