<金口木舌>女子大生100年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今や社会現象となったAKB48。プロデューサー秋元康氏が手掛けた“身近なアイドル”の源流は、1983年の深夜番組までさかのぼる。素人の女子大生だけを集めた「オールナイトフジ」だ。一躍、女子大生ブームを呼んだ

▼きょうは「女子大生の日」だそうだ。この番組が始まった日ではない。100年前の8月16日、東北帝国大学(現東北大)に女子3人が合格し、日本初の「女子大生」が誕生した
▼帝大と言えば男子が常識だった大正期。文部省は「前例がなく、すこぶる重大事件」と文書で警告したが、東北帝大は独自の判断で受け入れた。当時の学長は男女共学が世界の潮流だと知っていた
▼戦後、女子の進学率は高まった。60年代には男子を上回る学部も出てきて「女子大生亡国論」と冷やかされた時代もあった。最近はどうか。大学で教える知人によると、ゼミでの発言や海外留学に積極的なのは女子が多いらしい
▼世界に目を転じると、高等教育どころか基礎教育さえ奪われている国もある。女子教育の普及を訴え、武装勢力に銃撃されたパキスタンの少女マララ・ユスフザイさんは、7月の国連演説で「1冊の本と1本のペンが世界を変える」と力説した
▼国の圧力をはね返して女性に道を開いた東北帝大。教育に対する100年前の熱い思いが、学ぶ機会のない国々にも、同じように広がっていってほしい。