<金口木舌> 高校生の熱い夏


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 観測史上最高気温を更新するなど暑かった8月が終わる。そんな暑さにも負けず、多くの高校生は、より熱い夏を過ごしたのではないだろうか

 ▼憧れの代名詞ともいえる「甲子園」は、本家の野球以外にも多くのものがある。ことしは幾つもの「甲子園」で県内の若者が活躍した。県勢が上位の常連となった写真甲子園では、浦添工業高が連覇こそ逃したものの準優勝の快挙
 ▼俳句甲子園で浦添高、まんが甲子園で昭和薬科大付属高がそれぞれ3位に輝いた。ファッション甲子園には、北中城高の男子3人が出場した。数学甲子園の県予選もあり、9月の本選出場なるか、採点を待っている
 ▼毎回それぞれの甲子園を目指す高校生の作品を見ると、表現力の豊かさに驚かされる。「蓑(みの)虫(むし)や/爆音といふ/子守唄」。浦添高2年・安仁屋利緒菜さんの句だ。騒音が日常となる沖縄の現実を詠んだのか、うるささに耐えるため、布団にくるまる様子を想像した
 ▼浦添工業高の生徒が撮った写真を見ると、子どもやお年寄りの自然な笑顔が目を引く。飾りのない素の表情を引き出せるのは、技術だけでなくコミュニケーション能力もトップレベルなのだろう
 ▼全国学力テストでまたも沖縄は最下位だったが、悲観するだけで終わりたくない。若者の発想や表現力はまだ伸びしろがある。こうした誇るべき財産にも目を向け、育みたい。