<金口木舌>ウチナービケーンで世界標準


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 従来型の携帯電話を指してガラパゴス携帯、略してガラケーとはよく言ったものだと感心する。日本独自の進化を遂げたあげく世界標準から取り残されたガラケーだが、今でも国内では需要があるという

 ▼固有種の多さから沖縄は東洋のガラパゴスと呼ばれている。動植物の新種発見の報に接するたび、自然の豊かさを再認識する。海外では売れぬガラケーとは違い、こちらは国内外から高い評価を集めている
 ▼生き物だけではない。沖縄の文化も特異な進化を続け、国内外の若者から支持される。食、芸能、音楽は伝統の上に積み重ねられた創意工夫のたまもの。こちらもガラパゴス並みか
 ▼たとえば沖縄そば。そば粉を使わないのに、そばを名乗ること自体、希少種に値しよう。ソーキそば、ゆし豆腐そば、てびちそばなどメニューの多彩さと奇抜さは、あまたのスバジョーグーをうならせる
 ▼芸能ではエイサーを挙げよう。地域の青年団が守る伝統エイサーから創作エイサーが派生し、市民権を得た。沖縄のエイサーは国境を越える。創作エイサーの雄・琉球國祭り太鼓は各国に支部を広げる
 ▼1日に終わった今年の沖縄全島エイサーまつりも伝統芸と斬新な技の競演を楽しませてくれた。伝統を守り、さらに磨きをかける地域の力を感じさせる。東洋のガラパゴスはウチナービケーンで世界標準を発信する島でもある。