<金口木舌>ライバルあればこそ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ブラジル・リオデジャネイロで先日行われた柔道の世界選手権で、県出身の七戸龍選手(24・那覇西高-福岡大-九州電力)が100キロ超級に出場、準々決勝で敗れた。初出場の世界選手権で8強入りした健闘をたたえたい

▼この大会では日本男子重量級復権への期待を担っていた。しかし世界の壁は厚かった。試合後、七戸選手は「自分のレベルがまだ追い付いていなかった」と出直しを誓った
▼低迷する重量級の立て直しができなかったことで、井上康生監督は「時間をかけて強化し、世界で戦える選手を育てたい」と決意した。七戸への期待の高さをうかがわせる
▼小学生の頃、七戸選手は柔道と空手に打ち込み、空手家の父康博さんから気持ちを強く持って稽古に臨むことが実力を高めると教わった。今も普段の練習から強豪と対する気持ちで取り組むことが勝利につながると自覚。強靱(きょうじん)な精神で高みを目指す
▼先の世界選手権団体戦では日本の銅メダルに貢献した。メンバー1人を負傷で欠く中、大将の重責を果たした。「日本柔道の強さを見せたい」との思いを達成した満足感が表彰式の笑顔に表れていた
▼七戸選手が3年後のリオ五輪に出場すれば、県勢初の五輪柔道選手となる。不祥事続きで何かと暗いニュースが多い日本柔道界だが、若手の活躍を見るとほっとする。3年後の七戸選手の躍動も楽しみだ。